留置権と同時履行の抗弁権

Aが自己所有の事務機器甲(以下、「甲」という。)をBに売却する旨の売買契約(以下、「本件売買契約」という。)が締結されたが、BはAに対して売買代金を支払わないうちに甲をCに転売してしまった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

4.Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、留置権を行使してこれを拒むことができる。→○


【質問】

おはようございます。
何度も皆さんが質問されていると思うのですが、整理のため確認させて下さい。

過去問(H25-29-4)
Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、留置権を行使してこれを拒むことができる。 … 正解
留置権 ー 物権(排他的・絶対的)であり、第三者にも主張できる。
この問題が同時履行の抗弁権である場合。
同時履行の抗弁権 ー 債権であり、契約当事者間だけに及ぶものであり、第三者に対して主張できない。

いつも、留置権の上記の問題で躓いてしまうので、確認させて頂きました。
誤りがあればご指摘下さい。

【回答1】
その通りです。
同時履行の抗弁権は双務契約から生じるものですから、必然的に主張できるのは契約相手方のみとなります。

また、少しイレギュラーな覚え方になりますが、「抗弁」に着目することもできます。
「抗弁」というのはもともと訴訟において相手方の主張する事実を認めた上で法律効果を阻止するための主張です。
訴訟は通常1対1の関係ですから、「抗弁」が有効なのは訴訟の相手方のみということになります。
例えば、売買契約がなされた後、買主が代金を支払わないまま売主に引渡請求訴訟を提起した場合に、売主は自らに引渡し義務が存在することを認めた上で、売買代金が支払われていないことを主張して「抗弁」することになります。

後者の例は逆にわかりにくいかもしれませんが参考までに。

【回答2】
おはようございます。
概ね,その理解です。

<同時履行の抗弁権>
当該契約上の反対債権あるいはそれに準ずる債権のみに限られる。

つまり相対効という,債権分野の効力。

留置権
物権領域における絶対効という効力。

<補足>

■留置権
不動産上も認められる。対抗要件に係る登記不要。
■同時履行の抗弁権と留置権共通
公平の原則から導かれる効果。296条と301条は確認要。

【質問者】

先生方解説ありがとうございます!
頭の整理ができ、インプットでしました:くつろぎ:
狭い範囲ではなく、民法全体の広い範囲で色々な権利を比べると、ひっかけ問題が見えてきますね。
ひっかけには負けないぞ:勝ち誇った顔::ウケる:ありがとうございました